特捜戦隊デカレンジャーEpisode.50「フォーエバー・デカレンジャー」

怒濤の勢いで駆け抜けた最後の30分、「終わり」を意識する暇もないくらい、それはあっという間に過ぎて行った。これまで一年間を象徴するような澱みのないスピーディーな流れだった。

警察犬の逆襲

先週の緊迫感はそのまま、なんとOPテーマなし。親しみのあるOP場面も先週が最後となってしまった(だから一部修正していたのか)。生身でのデカレンジャー5人がデカベース内でアリエナイザーと対峙、外のロボにはテツ、アブレラはデカベースロボ操縦席(元はデカルーム)にドッカリの全く不利な戦いが続く。エマージェンシーの手段がない以上、どうやってこの場を切り抜けるかと思ったが絶体絶命のピンチに現れたのは、なんと警察犬・マーフィーK9だった。そうか、お前がいてくれたか!最初の頃地球署には犬が二体、青いボスと銀のマーフィーがいると言われて来た。しかしボスは地獄の番犬・デカマスターに、一方マーフィーはデカブレイク加入の頃から新たな兵器の登場によって、出番が激減、まさに干され状態だった。そのマーフィーがピンポイントの場面で俺は壊されてもいいと言わんばかりにアリエナイザーに立ち向かいデカレンジャーへの助太刀。まさに半年間ベンチを暖め続けた男が逆転満塁弾を打ったような活躍劇だった。デカレンジャーは、前回ドゥギーがジャスミンに最後何か言おうとしていたことを手掛かりにそれを手分けして探すことになる。

相棒・最終章

相変わらず生身で苦戦しながら、捜査を続けるデカレンジャー。最初に手掛かりを見つけたのはジャスミン、それもドゥギーが最後の闘いで手放したあのディーソードベガだった。もちろんエスパー能力でドゥギーの思念を知り、鉄工所にデカベースロボの機能を止める装置があるという見当をつける。センはシンキングポーズでS.P.Dシグナル(暗号)を思い出す。合流したセンとジャスミン、まさに地球署屈指の頭脳コンボだ。ジャスミンエスパーという設定は全篇にわたり100%生かすことができたのではないだろうか。しかも「賛成の反対の反対」って…ジャスミン最高、ジャスミン万歳!!このミッションは伴番、宝児、ウメコにバトンが渡される。まずウメコの攪乱作戦は風呂とは。「Hey You 何故バスタイムなのだ?」アリエナイザーも例に漏れず体が反応するらしくまんまと罠に嵌って泡をザバーっと。胡堂小梅ちゃんこと菊地美香嬢は今後も由美かおるの後釜キャラを狙うんでしょうか。そして伴番と宝児が通過。そこに中井和哉の声のウニーガが立ち塞がる。「バン、いいから乗れ」久々に見た宝児の射撃。そう言えば彼はパーフェクト・スナイパーだった。「後は頼んだぞ、相棒!!」「相棒って言うな!」逆ではありませんよ。50話目にして言っちゃったんだよ相棒。正直観ているこっちが照れくさくなる。苗字にさん付けで呼んでいた好きな子を初めて呼び捨ての名前で呼ぶ時の気分とでも言ったらいいだろうか。宝児はカッコよかった、そして彼は伴番を相棒と呼べるまでに成長した。ここまでAパート。

ファイナル・ジャッジメント

伴番の猛進で鉄工所(マーフィーの犬小屋の中)到着。備えあれは憂いなし。スイッチ一つでアブレラの手にあったデカベースの機能を自軍に取り戻す。伴番がアンカー、またかと思うかもしれないが、宝児−射撃、仙一−思考、茉莉花エスパー、小梅−風呂と各メンバーの十八番+マーフィーのガッツの延長線上にあるのだ。伴番はヌマ・Oに宇宙軍の撤退を要請。他メンもエマージェンシー解禁でボルテージも最高潮。生身の辛さを痛いほど分かっただけに気分は水を得た魚か。急に操作の利かなくなったデカルームに一人佇むアブレラを伴番が追い込み、宇宙支配寸前までこぎ付けていた大悪人エージェント・アブレラ、何と地上に真っ逆さま。6人の刑事と全悪党が地上に揃い遂に最終局面。口上そして最後のサービス、アブレラジャッジメント・タイム、やってくれました。×=デリート許可に決まっているけど、やっぱりこれがないとね。最後のアブレラデカレンジャーのやりとりはこの物語の原点だね。そしてアブレラへのとどめはなんと懐かしのDバズーカ→ストラックアウト。他も兵器がなかったという理由だったとしてもこれは嬉しい。デリートはやっぱりDバズーカかジャスティスフラッシャーが良い。マーフィーK9は今日のMVPだった。巨悪エージェント・アブレラ、地球に散る。

生きていたドギー・クルーガーとジャスウメの涙

アブレラ撃破!歓喜に浸る6人。しかし報告すべきボスは殉職…今日はまだ一度も姿を見せてない。一転泣き出す6人、一緒に泣きそうになる私。「誰が天国だって?」
ドゥギー生きてたー!!

Episode.13「ハイヌーン・ドッグファイト」のスワンお姫様だっこには及ばないが、確かに我らのボスがスワンと仲良くこっちへ来る。地球のため、無我夢中で必死で戦ったデカレンジャーの努力・結果は強いては宇宙も守ることとなり、彼らは宇宙一のデカとなっていた。それよりドゥギーに「俺の誇り」って言ってもらう方が何十倍も嬉しいけどね。ありがとうデカレンジャー、そしてこれからも頼むぞ特捜戦隊デカレンジャー!あ、デカスワンがいる…

エンディング「特捜戦隊デカレンジャー」に合わせて後日談

  • ドゥギーが宇宙警察地球署署長留任。
  • テツが正式に地球署の一員に。コントの息も合ってます。
  • ウメヨ・ウメノスケ・ウメゴロウも生きてたー。ウメコ、マーフィーと混浴。
  • 伴番は今回の活躍を手土産に晴れてファイヤー・スクワッド(通称F.S)栄転。伴番と呼ぶ新たな上司ギョク・ロウ。ウチのサイトみたいだ。

今回の一件で地球署は修復不可能かと思われた。まず署長のドゥギー、生きていられたとしても一線を退くか大丈夫でも上司の責任は問われる…どの道引き続き地球署に留まるのは厳しいかと思ったが、今回は部下の大活躍、宇宙警察が全く援護できなかったことなどからお咎め無しとなったのだろう。デカレンジャーが必死で慰留に努めた可能性もある。おかげで地球署は伴番out,テツinという最小限の異動で済んだ。ここで興味深いのはEpisode.50の終わりにして、再びEpisode.01開始時(ちょうど一年前)同様、デカレッドの1番不在状態に戻っていることだ。これは赤座伴番の地球署奮闘記と捉えることも出来るだろうし、またここから続編をスタートさせるということも十分可能なのだ。
後日談をEDだけに絞ったのは好演出。その分自由に想像が膨らむ。伴番の地球署お別れパーティー牛角もあっただろう。人事をめぐりヌマ・O長官との折衝もあっただろう。戸増美和ちゃんだけがスルーだったけど。ただ一つ、大きな謎が残った。ボスの生還のことだ。
「ボス、あの状態からどうして生還できたんですか?」
ボスはきっとちょっぴり笑ってこう答えるだろう。
「俺も地獄の番犬と呼ばれた男だからな」
と。ボス、ありがとう。声の稲田徹さん、スーツアクター日下秀昭さん、本当にありがとう。