機動戦士ガンダムSEED DESTINY PHASE-50/FINAL PHASE「最後の力」

ああ…終わりましたね。きっとシンと同じような気持ちです。アンタって人は!!って最後まで言い続けたのになんか主役じゃなくなってるし、もう赤服→オーブ一国民に逆戻りだろうし、ずっと信じてきたレイは勝手に暴走して消えるし(これが一番予想外、冷静なのが好きだったのにアンタって人は!)、生きてキラやアスランアークエンジェルの人と顔合わすのもバツが悪いことこの上ないよ。ただルナマリアという同じ立場を分かち合った伴侶が出来てよかったです。主役の座も地位も上司も守ろうとした人も、全部亡くなって…それでも跡に残ったのがこちらもなんで生き残れたか不思議なルナマリアさん(彼女は最終話じゃなければ、シンとアスランの戦闘を止めようとして挟殺死だっただろう)だなんでラッキースケベ健在だね、シン君は。まあ一市民にしてお幸せに。
なんだかミーアの回想が多かったです。皆がなんで、なんでと思いを巡らす度にくるくるしてました。C.E.73を誰よりも熱く激しく駆け抜けた女性ミーア・キャンベル(職業:生涯一ラクス)。このSEED DESTINYの中でデュランダル議長の飛車角として両翼を担っていたレイとミーアが終盤話を大きく動かしました。この2人は自分じゃない自分を演じてきた、思えば一足早くデスティニープランを歩んでいたキャラなんですよね。仕様に沿ったラインをキープしてれば怖いものはないけれど、いざ自我に目覚めると生を捨ててでもいわゆるアイデンティティーの定義に駆り立てられちゃうような。ミーアは最期の瞬間まで「私はラクス」を貫きました。あのシーンは名シーンとしてミーアの名と共に語り継がれるでしょう。しかしラクス様を咄嗟に庇った行動はあくまでミーアの意思でした。ミーアも最期はミーアとしての生の証を掴もうとした。デュランダル議長を撃ったのはキラでもタリアでも、ましてやシンでもなくレイだったという今日も最終局面も同じ。自分が何者か解らなくなったレイ、とりあえず議長とキラの会話を聞いていた。レイ・ザ・バレルとして最後の力で生きた証を何か…と精神でもがいてるうちに取っていた行動が議長へのNOの銃撃だった、という話。レイは議長に一度も反抗したことはなかっただろうし、一番信頼の置いていたというか心酔すらしていたシン引き留め(洗脳)係の同志ことレイに足元を掬われたわけだから、さぞかしダメージは大きかっただろうね。そしてこれは議長自身が『ああ、これはダメだったんだ』と思わせ「デスティニープラン頓挫」に説得力を持たせるのに最も効果的な形であったと私は見ました。単にキラに手を汚させたくなくて…という見方も出来ますけど、このミーアとレイの要するに命を投げ打って出た行動があってはじめてなにゆえデスティニープラン→×なのかがようやく見えたような気がします。キラやラクスはただ何となくの次元での否定+襲われたこととミーアをプロデュース(これはいいこと)と自分の曲のリアレンジ(これもすごくいいこと)してことへの腹いせの延長でデュランダルを消せ、止めろと意気込んでいただけですから。
↓ここからが番組から読み解いた「なぜデスティニープランは否定されたのか」の答え(!?)
死ぬことより生きることは辛い。すべてが決められてるより何もないところで自由にやれと言われるほうがシビアだ。だ・け・ど・ね、みんないくら生きていてもだ、死ぬ間際の数分間だけしか“自分”でいられる時間=“自分”を感じられる時間がないとしたらなんか悲しくない?要するに遺伝子かなんかで編まれた“デスティニー”、そこから自我に目覚めるか何かでデスティニーの路線から外れた瞬間、生のカウントダウンが始まるわけだ(きっとFFの死の宣告のようなもの)。残された時間、パニック状態の中、自分の生の証を世に遺すとしたらそれは自分や他人の生に手を伸ばすような過激な行為に限られる。そういう人の暴走としが繰り返される世界。自分を知った人には即死しか用意されず、自分を知らないままの人だけ生き永らえる世界。それが戦う必要のない世界、無用な犠牲も悲劇も出ない世界か?というと違う。明らかにかけ離れている。だったら数分しかなかった自分らしくいられる時間をもっと拡張して、もっと自分が何かを考えて、自分の生きた証も段階的に遺せるように出来たらイイナ!そのためには…!デスティニーなんて取り払って、生きてる時間はぜ〜んぶ自分の時間にしちゃえばいいんだ!(答)
デスティニープランが正しいように、アスラン曰く「デュランダル議長の言うことは心地よく聞こえ」たのは戦争が入り口になっていたからなんだね。議長の発言を戦争で失った人々や荒らされた大地が叫んでいるように錯覚したのかも知れませんね。ひとりひとりに意思があってそれがぶつかってはじめて争いがあるわけで、已むなしとは言えなくてもすべての人の自分に気づき、愛し、守ろうとする一連の行動を停止した死の世界に比べれば、世界も人が息づき、同じことを繰り返す愚かさを愚かと認識できる世界はやはり健全であたたかいです。仮に第2のステラやミーアが出る可能性を否定できないとしても。アンタは一体なんなんだかわからないとしても。
まあそういうことです。今日までデスティニープランなんでダメなの?とずっと思っていたのでこの30分はよくやった、まさに“最後の力”の一言に尽きます。これがラクスの演説みたいなカリスマに頼る手段で訴えてしまったらすべて正義は勝つで終わっていたでしょうから。キラとアスランの無用なシーンとかもなくてホッとした。混迷を極めたC.E.73の地球はオーブ連合首長国カガリ代表に委ねられるんですかね。最後まで出番に恵まれず!そんなカガリ代表、今日何をしているかというと最萌トーナメントにて奮戦中なのです。それから一番荷が重い彼女へのこれから頑張ってほしいエールor一年間お疲れ様の意味を込めてor一回戦で散った種デスマイメロのために!君も一票頼む*1。by CAGALLI YULA ATHHA
総括は…昨年末から観始めた口で最初は把握するのに大分骨が折れましたが、その分楽しかったです。SEED DESTINYから観始めた人間にもそれなりの配慮はされてたと思います。(レイの元の人は知らんけど)音楽も良い切り口で各アーティストの曲やインストを聴けて4thのOP以外は外れナシでかなり満足でした。2期、3期のOP、EDがすごく良かった*2のは影響大きかったです。挿入歌ではミーアの「Quiet Night C.E.73」はもちろんステラの「深海の孤独」とかも効いてたね。
続編は…どうなんでしょうね。土曜午後6時枠自体がまだ次が4年目なんですね。一年おきプランがあるなら来年の今頃始まってるはずだ。種デス組が2年生に昇級してちょっと今度は高みから見られるという楽しみがある反面、3シリーズ目作るとDESTINYの存在、特にミーアら今シリーズの犠牲者の存在が風化してしまう危険が…。まだちょっと気が早いッスね(汗)
ではここらへんでお暇としますか。またC.E.75にでもお目にカガリましょう!

今遠くても(L.O.V.E. LOVE!!)
また会えるよね

MEER CAMPBELL「Quiet Night C.E.73」Now On Sale!!

*1:きょう23時まで、明日はメイリン・ホーク

*2:「I Wanna Go To A Place...」最高です。EDの絵も含めて。