N・H・Kにようこそ!最終話(24)「N・H・Kにようこそ!」

経験談からすればどんなダメ人間相手でも触れ合ってお互いの温度を確かめ合っていれば、割りと人は勝手に重力とは逆の方向に引っ張りあげられて何とかやっていけるものなんで、この真理には十分沿っていました。崖を前にして佐藤君が死ぬなといいながら、結局お前が死のうとして止められてるじゃんというのは自殺サークルの時と同じなんでそこのひねりが足りないのと、岬ちゃんの義父から受けた傷はそう簡単に癒えるものなのか、確かに話して楽になることはあるがそう一筋縄ではいかないだろう(2番目のお父さんとか簡単に呼べるもんじゃない)というのは話を早くからヘビーにするのを避けたかったんだろうが、婉曲すぎて実際どうなのかは見えなかった。もっと意地悪な見方をすれば、周りの人間を不幸にして来たと思い込んでる岬ちゃんは目の前で本当に佐藤に言う人間を不幸な死に追いやっていたのかも知れないのだから。まず世の風潮からして自殺を容認する筋書きは書けない分、NHK違いながらNHKが悪いだのすべての元凶はNHKだのこちらは一線を明らかに越えて頑張って糾弾していました。
完結してない原作のオリジナルを作る、しかも一引きこもりの日常を切り取った話には派手な結末を期待できないという中で、ラストには誰もが納得する答えなんてないし、ましてや一つに決められるものでもないんだよというメッセージが込められていると感じました。岬ちゃんはこれから大検受けて大学目指すんだって。こんこんみたいに短期間ではいかないだろうが、本来はこういう人のための大検制度なんでまあ頑張ってくれ。岬ちゃん役の牧野由依は最高のはまり役だった。2期ED共々GJでした。オープニング、エンディングが一本の映画を見たような演出になっていたのも凝っていて良かった。佐藤君には大分共感させられることもあったし、楽しい半年間でありました。(終)