特捜戦隊デカレンジャーEpisode.47「ワイルドハート・クールブレイン」

クールさの裏に潜む脆さ

今回主役だったのは、戸増宝児・礼紋茉莉花というクールで完全無欠のデカ、ファンも多く一見最強に見えるコンビだ。だがそう定義できるのはあくまでクールさを保っていれば、の話。それまでの宝児・ジャスミンメインのエピソードではアリエナイザーとの闘いの中クールさに揺さぶりをかけられる場面が多く、一度影に潜む熱いハートが表に出れば冷静さを失うシーンが目立っていた。どんな世界でも冷静さを失ったものには結果は伴っては来ない。精神力とでも言うのだろうか。宝児やジャスミンにとって精神の弱さをカバーする手段、悟られぬようにする手段こそが常にクールに振舞うことだった。要するに二人は強がってきたのだ。しかも今回のエピソードで宇宙警察地球署刑事の草分けとして随分揉まれてきた苦労人であることもよく分かった。底抜けのお調子者かと思えば実は他人には真似出来ない発想でかなりデキるガイ赤座伴番や小さい身体とあのキャラでどうして刑事が務まるのか謎、でも地球署には欠かせない胡堂小梅といった超人的キャラに比べれば宝児とジャスミンは何と人間的なキャラであることか。私が元々好きなデカブルー・デカイエローは本当の意味で愛すべきキャラだったのだ。

地球署の沿革

今回はドギー・クルーガー率いる宇宙警察地球署の沿革について明らかになったのが、終わり近くになって興味深い話題だった。これまではEpisode.01開始当初のメンバーは宝児・セン・ジャスミンウメコの4人のデカ、そこに欠番だった「1」のデカレッドに赤座伴番が加入(刑事に成り立てだったのをドゥギーが採用)して…という「ファイヤーボール・ニューカマー」から全てが始まった。なんで2-5番がいて、赤の「1」が抜けていたの?というのが当時からの疑問だったがそれを含めて謎は解けた。去年のスタート時から暖めていたネタならちょっと凄いわけだが、伴番の前任者のデカレッドにギョク・ロウ*1という宝児とジャスミン、センだけが知る先輩がいた。獅子面のレオン星人、顔のわりに声は意外と若めなので実年齢は不詳だが当時のデカ4人の中ではリーダー格だと見てよい。宝児−ジャスミンコンビ、センはギョク氏と組んでいた*2のでセンが一番若年と見てよいだろう。その後ギョク氏が刑事としては致命的となる怪我を負い(最初は殉職したのかと思ってた)リタイア、その後新設の「5」番デカピンク枠に胡堂小梅を迎え入れ、欠員のデカレッド枠に伴番が入り、Episode.23からは特キョウの姶良鉄幹が常駐するようになって今に至る、これが地球署の歴史。当時4人だった頃の地球署を覗いてみたいようでやはり止めておきたい気もする。まだスワンさんがデカスーツ(多分デカマシンも)を発明する前という設備的な欠陥も然ることながらデカルームの雰囲気もかなり重そうである。これでデカレンジャーがスタートしてたら番組としても正直あまりウケなかっただろう。ドゥギーはギョク・ロウの離脱後に補強をしたわけだが、適材適所といえる。デカピンク・胡堂小梅。宝児に指図する図太さ。ジャスミンには同性で別タイプの妹分的存在。そしてセンとはギョク氏の後釜の凹凸コンビを組むだけだったはずがいつしか愛に発展し、最高のパートナーへゴールイン間近。雑用も利くし、何より地球署がパーッと明るくなった。こうして考えるとウメコが地球署にもたらしたプラス要素は計り知れないな。デカレッド・赤座伴番についてははじめは同僚から偏屈者扱いもかねてよりドゥギーに買われた潜在能力を出し始め、Episode.43では「相棒」こと戸増宝児との器の差が決定的となった*3。そこで先代デカレッドギョク・ロウのお墨付きを得てS.P.Dファイヤースクワット(赤い特キョウ)昇格話が。宝児とジャスミンがギョク氏の見守る中、アリエナイザーへ積年の敵討ちまでは予想通りの展開*4だったが、急に優秀な刑事を選抜したベストチーム極秘プロジェクトなんて「エースをねらえ!」を思い出したぞ。だが納得はいく。伴番は地球署においておくにはもったいない人材*5だ。5人の刑事の中では明らかにズバ抜けているし、格上のはずのテツも伴番の前ではもはや完全にへタレ後輩にしか見えない(情けない…)。コネや媚びとは更々縁のない突発的行動で上司に一目置かれるというのもポイントが高い。伴番よ、旅立て。だがこの展開こそが終わりの予感を告げているようで淋しくもある。

next/Episode.48「ファイヤーボール・サクセッション」

走るドゥギーに激萌え。「ファイヤーボール・ニューカマー」にやってきた赤が最後はカッコ良く去っていくなんてシブイぜ、デカレンジャー。後任三代目デカレッドはテツで決定か?2月6日が最終回であと三話ですか。後番組の宣伝とか止めろよ、淋しいじゃないか。デカレンジャーは特撮におよそ縁がなかった私をはじめて虜にした番組。デカレンじゃなきゃ愛せない、「デカレンとともに去りぬ」と思っていますので。

*1:もちろん名前の由来は玉露

*2:Cパートで凍っていた。ウメコの何気ない気遣いエルボーにも注目。

*3:d:id:ayana23:20041219参照。

*4:宝児とジャスミンのツーショット↑イイね。

*5:モーニング娘。ラッキー7オーディションで欲しかったのはきっと伴番のような存在。でもいなかった…依って該当者なし。